「予定日は11月20日ね……ユリ、やっぱ産むんでしょ?」
帰りのバスの中でマリリンが訊くと、ユリは恥ずかしそうに頷いた。
「ウチ、母子家庭やし一人っ子っしょ?お父さんも知らないしさ。
だから、お父さんもお母さんも揃って、兄弟がいる家庭を作りたい……って、ずっと夢見てたんだ。
ウチはお母さんに育ててもらって、幸せだったけど。
ぶっちゃけ、時々寂しくなる時もあったんよ。
だから、この子には同じ思いをさせたくないな」
でも、とユリは続けた。
「もちろんジュンにはすぐ話すよ。
今晩逢う約束してるから。
でもさ、ウチらまだ高校生じゃん?
ジュンもやっぱ引くと思うんよね。
ウチは信じたいけど……
女の子のダチから、妊娠した途端にカレに捨てられたって話はいくつも聴いてるから。
すごく不安だし……怖いんよ。
でもさ……
もしもジュンに逃げられても、ウチはこの子を産むよ!
誰になんと言われたっていい!
この赤ちゃんはこの世に必要とされてウチのところに来てくれたんやからね。
何があったって、ウチが守ってみせる」



