ナギはあたしの耳に優しく囁き、そのままあたしを抱き上げた。
「今は何よりも……おまえがほしい。拒むのは赦さないからな」
所長命令だ――
そう告げたナギは、あたしをベッドに運ぶ。
怖いけど……
あたしはもう、逃げたくなかった。
ナギの全てを受け止めよう。
ナギの苦しみも痛みも悲しみも、全部分けてほしいから。
あたしの胸元に下げたアクアマリンのペンダントは、ナギにも見えたみたいで。
「……ずっと着けてたのか」
それを手にしたナギは、小さく呟いた。
「うん……だって……あたしには大切な宝物だもん」
そう言ったあたしの唇を、ナギは深く深く封じて。
あたしたちは
夜よりも深い闇に堕ちて
太陽よりも熱く溶けていった。
万の言葉よりも強く深く
ナギの優しさと想いを
あたしは何度も受け止めて。
彼の腕の中で
あたしは
紅葉の君の想いと幸せを知った。