「静江さんの料理の方が美味い。会場にいるヤツらは味覚音痴なくせして食通を気取るバカどもだからな」
「なら、まだまだあたしの料理はダメってことだよね。まったく、ナギってもしかしてババコン?」
「おまえに言われたくないな、カクテルアタマ。
未成年のクセして酒をしこたま呑んで、マスコミの前で壮大なくだを巻いたヤツは誰だったかな?」
「あれ、お酒だったの?」
口当たりがよくて甘かったから、7杯も呑んじゃった!
こんな事が学校にバレたら即停学だよ!
あたしの顔を見てたナギが、クスクスと小さく笑った。
「本当におまえは見てて飽きないな。赤くなれば次には青くなる」
ナギが笑った……
こんな風に笑うナギを見るのは初めてで、あたしは嬉しくて涙が滲んできた。
カサリと小さな音がしたから、そちらに目を向けると。
ナギが手にしてたのは、あのチョコレートだった。
あたしは取り返したかったけど、ナギは背の高さを利用してあたしの魔手を避け一気に蓋を開いた。



