オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】




「……13年前の事件以来、俺は一度も入った事がない。俺の部屋だ。
あれ以来誰も入れた事はない。
忌まわしい記憶がまとわりついてくるだけだったから。
このドアを見ることさえ避けていた。
だが……
おまえといれば怖くはない」


ナギはそう言うと、あたしの涙を指で拭った。


「忌まわしい記憶は去った。
おまえが流してくれた涙で」


あたしが何もいえずにいると、ナギはあたしの背中に手を回して胸に抱き寄せた。


それはいつもより優しくて。


でも……


命さんや華々しい世界。


違う世界のひと――


それを思い出したあたしは逃げようと身をよじらせたけど、ナギは腕に力を込めて離してくれなかった。


「離して……あたしはあなたの側にいちゃいけない人間だもん!
ナギには命さんが相応しいよ!!」


思わず叫んだ言葉は……


ナギの唇で塞がれた。


強く押し付けられた唇は、息もできないほど苦しいけど。


あたしの中にある、言い知れない感覚を呼び出しかけた。