ナギはマイクを置くと、頭を深々と下げて。
あたしの手を掴んだ。
「それでは皆様方お楽しみください」
ナギはそういい残すと、あたしの手を引いて足早に歩いてく。
あたしは何が起きてるのか自分でも理解出来てなかった。
ナギが向かった先は自然と人垣が分かれて道が出来る。
会場を抜け出したナギは、あたしを連れて緋色の絨毯を敷き詰めた階段を登った。
あたしの息が上がる頃、ナギは大きなドアの前に立ち止まる。
「ナギ……いったいなにを……」
あたしが問いかけても答えず、ポケットから鍵を取り出したナギは鍵穴にそれを差し込んで回す。
カチリと小さな音がして、ドアが開けば。
そこから見えた光景に、あたしはビックリした。
そこは……
ナギの記憶で見たままのお部屋。
何ひとつ変わってない。
ナギのお母さんが、息子を殺そうとした場所。
あたしは……
知らず知らずのうちに、涙が零れ落ちた。
ナギの痛みや苦しみを思ったら。



