他にもファンタジックな彩りの可愛い飲み物があったから、あたしは次々とそれを飲んでいったら。
なんだか体がぽかぽかと温かくなって、気分も良くなってきた。
《杏子どのも流石はよい呑みっぷりじゃ》
大樽を手にしたアプレクターじいちゃんが言う意味はわからないけど、
あたしはけたけたと笑ってやり過ごした。
なんだか気が大きくなったせいか、何にも怖くない。
この辺にいる紳士淑女はみいんな、煌びやかに飾られただけの電気仕掛けのお人形。
プログラムされたみたいにおんなじ事しか喋れなくて、おんなじ事しかできない。
きっと買い食いとか、友達とするウィンドウショッピングの楽しさも知らないんだろうな。
行動も何もかも制約されるんだもんね。ある意味可哀想かも。
あたしはしみじみと、庶民に生まれてよかったと思う。
会場にはマスコミのカメラマンや記者なんかも何百人規模でいたから、それだけ注目度が高いんだね、この婚約は。
あたしは人ごとみたいに考えてた。



