《杏子どの、ここには美味な料理がたくさんあるぞよ~。
酒もなかなかのものが揃っておる。
わしが食べたことのない珍味がいっぱいじゃ。
せっかくの機会じゃから、杏子どのも賞味なされい》
鶏のハーブソテーを手にしたアプレクターじいちゃんが、あたしに声をかけてきた。
《おや?なにか悲しいことでもあったのかいの……それならば……たあ~~っち……ぐおめじごわっ!?》
アプレクターじいちゃんの手が伸びた瞬間に、あたしは革の靴でゲシゲシとそれに蹴りを連発してやった。
アプレクターじいちゃんが数ミリの厚さになるまで蹴り続けたら、なんだか妙にすっきりして。
いつもの自分を取り戻せた気がした。
「そうだね。こんな豪華なパーティーによばれるなんて、もう二度とないだろうし。この場所に来るのも最初で最後だろうから。
思いっきり楽しまなくちゃ損だよね!」
そうだよ!
うじうじしてるだけなんて、あたしじゃない。
貧乏小娘の庶民でも、招待されたなら立派なお客様のはずだもんね!



