今までどこか現実感がなかったけど、こうしてはっきりと目の当たりにすると解るよ。
気圧されるなんて生易しいものじゃない。
本当に雲の上の人なんだ。
はっきりと自覚したあたしは、箱が入った紙袋を手にして顔を伏せたまま自分に言い聞かせる。
大丈夫。
あたしは大丈夫。
吹っ切れる。
忘れられる。
付き人さんに案内されて邸内に入ると、光の洪水にクラクラした。
それは燭台やシャンデリアから放たれる光だけじゃない。
着飾った貴婦人たちの華やかさで目が眩んじゃって。
髪型もファッションもハイセンスでオシャレ。
キラキラ光るダイヤモンドやプラチナ。
手作りの綿の白いワンピースに、ワンポイントで赤い蝶のブローチをしただけのあたしは恥ずかしくて。
今すぐ逃げ帰りたい衝動に駆られたけど、何度もそれと戦って勝った。
諦めるならすっぱり断ち切るために、現実を直視しなきゃいけないから。
ツラくても目を逸らさずに真っ直ぐ見なくちゃ。



