……そっか……
ナギ、本当に婚約しちゃうんだね。
やっぱり違う世界の人なんだから、当たり前だよね。
自然とこみ上げてくる熱いものを拭わずに、あたしは両手を目に当てて思い返した。
ナギとの最低の出会い。
何度も不信に思ったこと。
一緒にご飯を食べる時、ちらりとよぎる幸せそうな顔。
あたしをバカにしきったムカつく表情。
本当に傷ついた顔。
動物たちを助ける必死な姿。
ケンカしあいながらも、誰よりも解りあえた喜び。
ときめいた広い胸の中。
草原を抜ける風のような香り。
何もかも夢みたいだった。
……幸せだった。
確かに大変で困難な事ばかりだったけど。
ナギがそばにいてくれただけで、あたしは幸せだった。
もうこれ以上あたしに彼を束縛する権利はない。
さよなら……
その想いを伝えるために、あたしは涙を拭うと、最初で最後のチョコ作りに取りかかった。



