結局あたしは紅葉を一枚だけ頂いて、祖父江家を後にした。
マモル君には簡単に昨夜見た夢の話をしておいたけど。
彼もやっぱり不思議がってた。
博君猫は来た時にやっぱり放してあるから、この事は後から知らせなくちゃ。
《紅葉の御方と貴殿がもしや縁あるやもしれぬとは。これが縁とゆうものじゃな》
アプレクターじいちゃんは余分な事を言う。
《じゃが、祀る寺がなくなったのもまずいのう。
おそらくその寺は、神木の強すぎる力を抑える役目も果たしておったのじゃ。
長生きすればするほど、木というものは力を持つものじゃから。
重しとなるものがなくなり、一気に溢れ出た力が悪い方へ流れてしもうたのじゃな》
アプレクターじいちゃんの言うことはもっともだった。
もともとはじいちゃんと同じように清らかな性質であった筈なのに、護り護られてきた産土本家の裏切りに遭い、あまつさえ体や仲間たちを一度になくして。
人間だって赦せないと思うよね。
でもだからって、このままじゃあまりに悲しすぎるよ。



