そう言うと、瑠璃さんは文箱から小さなしおり大の和紙を出した。
その和紙は虫食いの跡も変色すらなく、不思議と清らかな白さと滑らかさを保ったままで。
その中に収められていたのは。未だに色鮮やかな紅色を保つ紅葉。
押し葉にしてあったのか、色合いも大きさも様々な数枚の葉がまるで手にした当時そのままの姿で保管されてた。
「これは紅葉の御方が、御神木や宮さまの出逢いを記念されて作られた押し葉でございます。
どうぞおひとつお好きな葉をお持ちください」
「そんな由緒ある大切なものを見ず知らずのあたしに」
さすがに突飛すぎる瑠璃さんの発言に、あたしもそこまでご好意に甘えるわけにはと思ったけど。
瑠璃さんは真剣な面もちで語り出した。
「実は昨夜の事ですが……私の夢枕に高貴そうなお姿の方が立たれまして。
《紅葉に縁のある者が現れるゆえに形見分けてをせよ》
と言い残されたのでございます。
それ以来、あなたが紅葉の御方に縁のある方と私には思えてならないのです。
ですからどうぞご遠慮なくお納め下さい」



