時の帝の第二皇子……



その霊力の高さ故に。


後に土着の神を祀る意味を持つ産土親王(うぶすなしんのう)と称され、紅葉の御方と呼ばれた姫君との間に八人の御子をもうけ、幸せに暮らしたという。


それが、私を代々護った産土家の始まりとなった。


産土家は私を神木と崇め、大切にしてくれた。



紅葉の御方の気質を受け継いだのか、その子孫らも森を大切に護り生命を愛しんだ。


治める領民たちにも思いやり深く優しく、万民に愛され慕われた名君を代々輩出した。


私の許では子どもたちと子鹿などもお互いを思いやり、決して争ったり傷つけあう事はなかったのだ。


春は咲いた花をともに愛で、夏は木陰でともに休み、秋は果実をともに味わう。


冬は冬眠しない動物たちのために、地元の子等や産土家の御子たちも私の許へ食べ物を置きにきたのだ。


互いに思いやり慈しみあう。


その気高さと清らかさは、どのような宝石よりもきらきらと輝いて私を慰めてくれた。