あ、でも。と、美絵さんは部屋の棚の上に置いた鉢植えを指差した。
「昨日はラッパ水仙が、今日はバラがベランダに置いてあったのよ。
いたずらにしてもまあ害はないし、きれいだから飾らせてもらってるけど。一体誰かしらね?」
美絵さんはさほど不安そうでもなく、むしろ愉しげに言う。
確かに……
3日間続けてだなんて、意図しない限りまずあり得ない。
でも、美絵さんはどちらかといえば肯定的に捉えてるみたいで、流石だよね。
とりあえずお昼をいただく前に、美絵さんは弟さんの分をもうひとつの部屋へ運んで行った。
あたしも何となく着いていったんだけど。
障子越しに美絵さんが声をかける前に、ふしぎな事があった。
ぼそぼそと低く小さかったけど、確かに中から話し声が聴こえてきたから。
あたしが耳をそばだててみれば、もそもそと喋ってて話の内容は聞き取れなかったけど。
独り言じゃなく、相手がいるってのははっきりとわかった。
「史、部屋に誰かいるの?」
美絵さんが声をかけると。



