ユリからは止められてたけど、あたしはチカに伝えてよかったと思う。
やっぱり本当に好きな人となら、全てを分かち合いたいと思う。
それが自然な気持ちなんだろうな。
こんなにもチカの心を理解し始めたあたしは、自分でも気付いていなかった。
自分自身に起きていた心の変化に。
今日は村田家を訪問するから、あたしは駅前からバスに揺られて20分。
マモル君との待ち合わせ場所であるJRの駅前に着いたとき。
「杏子お姉ちゃん、ここでいいからオレを放してよ」
人通りが途切れた時、博君猫がそう言った。
そういえば昨夜帰ってから、博君猫は地図をいやに熱心に眺めてたから、何かあるとは思ってたけど。
「オレ、昨日のうちに細かい番地とか道とかぜんぶ覚えたんだよ。
だから迷子にはならないから大丈夫だよ」
自信ありげに言う博君猫に何をするつもりと訊いても、今は秘密だよと逃げられた。
まあ確かに猫の姿なら、いろんな場所に怪しまれず出入りできるし。



