きっと踏み込んじゃいけない領域なんだから……
しばらくすると、ナギの息も落ち着いて顔色も良くなってきた。小さな寝息をたてて寝入ったナギは、まるで幼子のような無邪気な顔で。
……無理もないよね。
ずっとずっとひとりぼっちで大きな苦しみと秘密を抱えて、独りで戦ってきたんだもん。
誰にも相談出来ずに孤立無援で。
それに、産土本家の嫡子としての気の張る毎日と目に見えない重圧。
大変な毎日。
あたしでよければ、いつだってこの胸と膝を貸したげるよ。
もしあたしの側で、ナギが僅かにでも安心出来るなら……。
それは、すごく嬉しい。
どんな金銀財宝を贈られるよりも、あたしには価値のあることだよ。
あたしは無意識のうちに膝の上にあるナギの頭を撫でてた。
どうかナギが、いい夢が見られますように。
そして、少しでも疲れや苦しみがとれますように。
そう祈りながら、あたしは十三夜の月光の下でナギを抱きしめた。



