雲が晴れて月を完全に遮るものがなくなった時、心臓が飛び出しそうなほどに強く、高く脈打った。
あたしは低木をかき分けたまま、全身が強ばったように動かなくなった。
月光に浮かび上がった輝く姿は――
ナギだった。
芝生の上で膝を着いたナギは右の手のひらに何かを載せて、それに左手を翳すみたいに上から軽く添えてた。
何をしてるんだろ?
あたしは前かがみになって体を乗り出し、ナギの手のひらに載ったものが何なのかよく見ようと目をこらしてみたら。
僅かに開いたナギの手の隙間から見えたのは、体中が血だらけでぐったりとしたスズメだった。
よほどの出血なのか、滲み出した血はナギの手を伝って地面にぽたりと落ちる。
まさか……ナギがスズメを!?
誰がどう見てもあれは、スズメを害したのがナギに見える。
儀式に使う生け贄とか生き血を取るとか、そのため?
でも、あたしには信じられない。
ナギは人間には冷たいけど、動物には優しい筈だもん!
ナギがやったってあたしは思わない!



