ここの白きアプレクターはずいぶん賑やかで、あたしに憑いてるアプレクターじいちゃんはうるさくて眠れないと愚痴を零すほど。
風が揺らす緑陰のざわめきに、木々の会話が。
水やり後の、玉が連なったように輝く花びらの露は、花の嬉しさでうち震えてた。
土の中で春を待つ生命たちのアプレクターたちも、来客が多いと騒ぎだす。
ハーブガーデンや薔薇の庭などで数々のライトアップもなされたけど、それ以外にも十三夜の金銀色の月光が明るく周りを照らし、青白い影を落とさせてた。
《気持ちのよい場所じゃのう……こんなに気力が満ちるのは久方ぶりじゃ。
ここにおる同朋も幸せそうじゃし、こんなに何もかも恵まれておる。
なぜにここの若殿は気に病むことがあるのじゃろうか?》
若殿っていう時代錯誤な呼び方はともかく、アプレクターじいちゃんの指摘はあたしも同じように思ってた。
だいたいこんなに何もかも恵まれて、幸せすぎて恐いからなんとかしてくれだなんて。
普通の人間なら、手放しで喜び甘受するのが当たり前と思うんだけど。



