「実を言うとそうです。
産土様はふるさとの神さまを祀る神事の家系、皇様は霊力の高い巫女姫を出される家系。
経済界や政界のみならず、あらゆる世界では広く知られている事ですから、そのご当主候補のお二人がお越しになられた。
これならば間違いないと正式にご依頼を致しました。
しかしながら、先日探偵事務所でお話をうかがって頂いた方がこちらにいらしたものですから、私も判断がつきかねる、というのが正直な気持ちでございまして」
ナギと命さんが先に来ていたなんて!
確かにナギは産土探偵事務所の正式な所長だから、事件を扱う優先権もあるし、どうするか判断だってつけられる。
第一ふたつの事件をどちらが解決出来るかの勝負もしているんだから、まだ来てなかった方がおかしいくらいなのに。
でも。
ならどうして、今なの?
勝負を言い渡して3日目なんだから、先んじる機会ならいくらでもあったハズなのに。
今日村田家に電話してみても、ナギたちが訪れた様子はなさそうだったし。
準備でもして遅くなったのかな?
よくある禊とか。



