「あの女が借金先の娘って立場を利用して、無理やりケンを付き合わせてるコト。
でなきゃさ、ケンが自分の男のダチに『しばらく俺には近づくな』……なんて言うはずないさ~!」
そうだったんだ。
ケンはチカを嫌いになったんでも、浮気をした訳でもなくて。
脅されて無理やり付き合ってるだけ。
チカが大切だから、巻き込まないように何も言わずに。
ケンらしい優しさだった。
……だけど。
そんなの、辛いよ。
何も知らされずに待たされたり、誤解ある行動を取られたりしたら……
いったい何を信じて、何に縋って待てばいいんだろう?
ただ一言でも確かな言葉があったなら、迷ったり悩んだりした時にも救いがあるけど。
ケンの優しさは、今のチカには絶対によくない。
あたしは心の底からそう思えた。
誰しも不安な中を生きているけど、どうして男の人はいつも多くを語らないんだろう?
そう考えて、あたしはハッとした。
あたしはいつからこんな風に考えるようになったんだろう?



