車から降りたあたしは、マモル君にお礼を言おうとする前に、彼が先に口を開いた。
「この猫はどうする?まがりなりにも博君が入っちゃってるから、うっちゃって置くわけにはいかないし。
おばあちゃんには打ち明けられないし、君のアパートにも連れていけないし。もしよかったら、とりあえず今晩は俺が預かるよ」
マモル君の申し出は、正直言うと有り難い。
黒猫が博君のままなら連れて帰ったり出来るけど、こんなに騒がしいならムリ。
うちのアパートはペット全面禁止で、子猫を拾ったお隣さんが即日叩き出されたくらい厳しいから。
「色々とありがとう。おやすみなさい」
あたしがマモル君を見上げながらそういうと。
彼は一瞬言い表せない表情をして……
あたしに顔を近づけた。
柔らかい唇が触れたのは、あたしの頬だったけど。
「それじゃあ、おやすみ」
微笑んだマモル君は、何だかいつもと違うようにみえた。
静江おばあちゃん家に直に訪れたあたしは、今晩博君があたしの家に泊まると説明しておいた。



