レインボーハイツの敷地から出るときも苦労したけど、アプレクターじいちゃんの導きで何とか出られた。
今すぐ何とかしたいのは山々だけど、アプレクターじいちゃんに色々訊いたり、事務所に保管してある調査票や事件簿を調べれば何か対処法が見つかるかも。
悔しいけど、今のあたしには力も知識も何もかも足りないから。
「ちょっと遅くなっちゃったね。最終バスがなかったら、うちの車を呼ぶけどいいかい?」
マモル君がそう言ってくれたけど、いつもいつも彼の好意に甘える訳にはいかないよ。
「ありがとう。でも……」
あたしが断ろうとした瞬間だった。
「フギャオウ!!」
甲高い猫の鳴き声に続いて、何かががしゃんと派手に倒れる音がしたから。
あたしとマモル君の目は、自然とそちらの方へ吸い寄せられていった。
「フウ~~~ッ!!」
全身の毛と尻尾を逆立て、四肢を突っ張って眉間にしわ寄せ口を大きく開いた猫は……
黒猫の博君!?
あたしが結びつけた首のハンカチがあるから間違いないよ。



