オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】




あたしはお母さんを思い出して切ない気持ちになっちゃって。
ブリを焼くときに煙が目にしみたから、って誤魔化しながら涙を流した。

晩ご飯は和気あいあいとした雰囲気で、和やかな時間が過ごせた。

その中でだいたい必要な事はさり気なく訊けたし。
後は形式的な質問をしただけで、あっという間に10時になっちゃった。


帰り際に美絵さんが言いにくそうに切り出したのは、依頼料の事だった。

確かに個人的にも何とかしてあげたい件だけど、仕事となった以上は無料という訳にはいかない。

あたしもケンの借金で1円もムダにしたくないから、ここに来るバス代もバカにならない。


かといって、暮らし向きが楽そうに見えない家庭からふんだくるのは心苦しい。


基本的に産土探偵事務所は前金で10万、必要経費は後日請求で成功報酬は掛かった日数や難しさで段階的に設定されてる。

たぶんナギなら、このクラスの事件なら平気で100万以上は取るだろうけど。


「成功報酬は全て込みで10万で結構です。一度で無理なら分割で構いませんから」