マモル君がやっとあたしと美絵さんのところに来たのは、アプレクターじいちゃんに守ってもらいながらだった。
一般人だと特に変調は起きないかもしれないけど、少しでもアプレクターを感じる力があれば、毒気に当てられたように体調に変化をきたすからだけど。
むろんお客として短時間滞在したとしても、一般人でも体のどこかに変調が起こるはず。
たぶん、美絵さんのお母さんが倒れたのはそのせい。
これだけの黒きアプレクターがいるなら、そこに不幸ばかり訪れるのも納得できる話だわ。
あたしとマモル君は美絵さん宅にお邪魔するため、正面の階段口に回った。
ドアが開く音がしてまもなく、ひとりの男性が階段を降りてきた。
年の頃は20代後半くらいで、背は高めだけど筋肉がついてないせいかひょろ長い感じ。
髪の毛はあまりブラシを通してないのかくせ毛なのかぼさぼさで、これといった特徴のない顔と相まって地味だなって印象を受けた。
体を包むのは上下お揃いの灰色ジャージ。
そのせいでよけい地味だってば。



