「うん、わかった!
オレ、杏子お姉ちゃんたちのためにいろいろ見てくるね!」
籠から出された黒猫の博君はそう言うと、二本足で立って右手を振ったから、あたしは周りに人目がないか急いで見回した。
すっかり日が暮れたせいか、人通りもなくてどのアパートの窓も締め切られてたから、ホッとしたあたしは胸を撫で下ろしたけど。
「あ、ちょっと待って!」
あたしはちょっとした思いつきで、黒猫の博君の首に黄色いリボンとその上からハンカチを細く巻いておいた。
その辺りにはない絹の紫式部と鶯(うぐいす)柄は風雅で、黒い猫の体によく似合ってた。
「これでよしと!博君、何かあったらこれを使ってもいいからね」
あたしがそう言うと、博君はそれ以上喋らない約束を守るつもりらしく、コクリと頷いて猫らしく四本足で歩き、塀の角を曲がって姿が見えなくなった。
黒猫を見送ったあたしたちは、村田美絵さんのお家であるレインボーハイツを訪れる。
………………
何でしょうか、コレ。



