「ミャオ~ウ」
「アニャアン」
「フギャオウ!」
あちこちから猫の鳴き声が聴こえてくる。
そういえば、この街ってずいぶんと猫が多いなあって、さっきから思ってたけど。
駅前からここまでであたしが姿を見た猫は、少なくとも20匹はくだらないと思う。
親子猫もいたし、喧嘩中や求愛中の猫もいて。
今道を横切った茶虎で21匹目かな?
片目が潰れてて耳も千切れて尻尾が短いけど、体ががっしりと大きくて迫力あるな~ゆったりと自信あふれる貫禄……
たぶん、あの猫がこの辺りの縄張りを仕切るボス猫。
やっぱり他の猫も彼の前を横切る時は、尻尾と耳を下げて伏せ目がちに通るし。
それをじろりと片目だけで見る茶虎の威厳って……すごい。
そのうちに茶虎猫は欠伸をした後、アパートの駐車場を横切ってゆったりと去っていった。
「杏子お姉ちゃん。オレ、もう窮屈なのやだよ。この辺りを見てきていい?」
茶虎猫の姿が見えなくなった後、籠の蓋を頭で持ち上げた黒猫がそう言った。



