「あのお……すみません。レインボーハイツはこちらの方でいいんでしょうか?」
あたしは村田美絵さんの住所を手に、犬の散歩中だった壮年の男性に訊ねてみた。
村田さんの住んでる住所は思いのほか入り組んだ路地にあり、しかも似たり寄ったりの外観のアパートが林立してた。
マモル君のケータイのGPS機能を使って位置測定してみても、なんでかあたしたちは川の中にいる位置表示がされたから、ハッキリ言って役に立たない。
「レインボーハイツねえ……聴いたことあるよ。たしか……」
ゴールデンレトリバーのリードを手にしたまま、おじさんは住所を書いた紙を覗き込み、時々眼鏡の縁をかけ直しながら考えこんでいた。
ゴールデンレトリバーは文字通り黄金色の毛がふさふさで、黒い目をこっちに向けながらちょこんとお座りしておとなしく待ってた。
よく躾られてるな~…
そうあたしが感心しながら、こっそりとレトリバーに触ろうとした瞬間。
「杏子お姉ちゃん、まだ着かないの?オレこんな狭いのやだよ……」



