産土探偵事務所の給料が今度入ればもっとお金を渡せる。
必要最低限の生活費を引いて、後はケンたちに渡そう。
探偵事務所の仕事ももっと頑張らなきゃ。
もっとバリバリ働いて稼ぐ……
そこであたしはハッと思い出した。
ナギの言葉を。
「私たちが勝てば、産土探偵事務所は閉鎖します」
冗談じゃないよ!
ケンの日向一家の進退が掛かっているっていうのに!
これ以上ない高収入源をみすみす潰してたまるもんですか!
あたしは怒り心頭に発して、産土探偵事務所の裏口に通じる階段を上がろうとしたとき。
「探偵事務所の方ですか?」
あたしに声をかけてきたのは、この建物を管理してる大家さんだった。
「あ、これはどうもお世話になっています」
あたしが慌てて挨拶すると、大家さんはそれを遮ってとんでもないコトを口にした。
「いや、それはいいんだけど。賃貸契約の期限がもう直ぐ切れるから、引き払う準備が進んでるのか見に来ただけなんだよ。次の入居者も決まってるからね」



