お嬢さまに赦されて顔を上げると、上座に座したお嬢さまはゆったりと流れるような動作であたしたちに挨拶をした。
「お初にお目にかかります。
わたくしは皇命(すめらぎ・みこと)と申します。
この皇本家の長女であり、産土本家の嫡子であられます凪さまの許嫁(いいなずけ)でございます。
あまりに取り急ぎ参りましたのでお見苦しい点も御座いましょうが、どうぞお許しくださいませ」
……すごい。
非の打ち所のないお姫様。
貴婦人。
古くさい言い方だけど、西洋風に言えばレディ。
こんな方がこの世に本当に居たなんて。
両親がちゃんといて名家の長女に生まれ、厳しく躾られ。
容姿も仕草も物言いも何もかも高貴で思慮深く品があって。
「渚さま、お顔の色が優れませんわ。
お加減がよろしくないのではないのではありませんか?
よろしければ床の間で休めるようにいいましょう」
それも
よく気がついて、こんな庶民にも優しい。
………かなわないよ。
かなうはずがない。



