あたしの疑問を理解したのか、マモル君はあたしから離れてこう言った。
「ここは皇(すめらぎ)家。ナギの叔母が嫁いだ家さ」
皇家……
あたしはぼんやりした頭で考えてみた。
確か江戸時代から続く皇工業や皇食品を始めとしたグループ企業を興した一族で、世界各国にも支社や現地法人を持ち、アメリカの世界企業ランキングでも常に上位に入ってる。
グループ企業の売り上げじゃなく、純利益は数兆円規模で。
確か最近読んだ朝刊の経済欄にそう載ってたっけ。
それだけのお家に叔母が嫁ぐなんて、やっぱりナギの実家の産土家ってすごいんだ……。
あたしは胸の奥に硬い物が沈んでゆくような、気後れと落胆を感じた。
「渚さん、歩けそうかい?」
マモル君がそう訊いてきたから、あたしは自分の体調をすぐに確かめてみた。
軽く眠ったお陰か身体の方は歩けそうだと答えると、車のドアが開く音がして白髭の蝶ネクタイおじいさんが顔を出した。
「透さま、皇家よりお目通りのお許しを頂いて参りました」



