車のエンジン音と揺れが快適な子守歌になったのか、あたしはいつの間にか微睡んでいたみたい。
「着いたよ」
マモル君の声が聴こえて、あたしはウトウトと浅い眠りから覚めた。
体調を考えたのか、あたしのいる右側の窓にはカーテンが引かれていたから、外の様子を窺い知ることはできない。
マモル君は軽く体を乗り出して、そのカーテンを一気に引いてくれた。
あたしが顔だけ上げて外を見てみると。
すぐ目の前にあった光景は、時代劇にでも出てきそうな『お屋敷』という言葉がピッタリの、門構えも造りも立派な日本家屋だった。
江戸時代をそのまま切り取って再現したような、古いけれど格式もありそうなお屋敷。
敷地を区切る塀だけでも左右に何百メートル延びてるんだろう。
もしかしたら一周するだけで何キロとかいう規模かも。
御殿という言葉も思い浮かぶほど、今まで見た和風のお家とは桁違いすぎて。
でも、なんでこんな場所にあたしを連れてきたんだろう?
マモル君の意図が解らなくて、あたしは無言で彼の顔を見上げた。



