マモル君はあたしが差し出した紙を見て、無言で首を振った。
だけどそれ以上は話したくないのか、あたしから目を逸らして運転手さんに何か言うと、クーラーボックスのフタを開ける。
「渚さんはどれを飲みたい?
お茶?それとも炭酸系?オレンジジュースもあるし、スポーツドリンクもあるよ」
そんな言葉が聴きたいんじゃないのに……
あたしは軽い失望を感じて、タオルケットを顔まで上げると、失礼と解っていてもマモル君に背を向けた。
マモル君もそれが拒否と感じたのか、それ以上は何も訊いてこないし何もしてこない。
車がどこに向かってるのか……
あたしの家だととうに着いてておかしくない時間が過ぎていたけど、何もかもどうでもよくなったあたしは行き先なんて気にならない。
ナギのこと、調査票のこと、チカとケンのこと、マモル君のこと。
昨夜からまだ1日しか経ってないのに、ショックを受けるようなことが立て続けに起きすぎて。
体調が悪いことも手伝って、あたしは捨て鉢な気分になっていた。



