「渚さん!」
マモル君の声だ……
ちゃんとあたしを迎えに来てくれたんだ。
その事実が嬉しくて、そして哀しくて。
あたしは滲んだ視界の隅にマモル君の姿を捉えても、顔なんて上げられなかった。
マモル君はあたしの体をタオルケットで包むと、そのまま抱き上げて車に乗せてくれた。
あたしの体調を考慮したのか後部座席のシートをギリギリまで倒して、枕まで用意して横たえてくれる。
「寒くない?暖房をもう少し入れるけど。
飲みたいものがあるなら言って。クーラーボックスに用意してあるから」
そう言ってくれたマモル君の言葉は、今のあたしには何よりも暖かかった。
だけどあたしはどうしても訊きたいことがあって、片肘を着いて軽く体を起こした。
「起きちゃ駄目だよ。まだ顔色が悪いのに」
体を乗り出したマモル君の動きをあたしは左手で遮り、あの調査用紙を手にして一気に訊いた。
「マモル君、ナギに婚約者がいるって本当?
昨夜はそのせいで帰ってこなかったって。
それから、これの事は知ってたの?」



