「クラスメートの女の子。
杏子お姉ちゃんとココアお兄ちゃんの事話したら、“まるでソウシソーアイのコイビトみたい”
って言ってたから」
「そ、それ絶対ないから!世界が滅んだってあり得ないから!!」
あたしが力を込めてきっぱり言い切ると、博君が言ったのは。
「なら、ココアお兄ちゃんが本家とかの“コンヤクシャ”に会いに行ったってのも関係ないよね!」
それを聴いた瞬間、あたしの胸にチリと火傷に似た痛みが走ったけど、あたしは慌ててそれを否定した。
あたしのナギの実家の事はよく知らないけど、一高に通ってるならやっぱりそれなりのお家なんだよね。
なら、こんなに若いうちから婚約者がいたって不思議じゃない。
お金持ちや名家にはよくある事だもん。
けど、あたしには関係ない。
あたしとあいつの関係は、ただの雇い主と労働者で。
それ以上の事なんかなにもない。
ナギはあたしを女の子として見てないはずだから。
なんともない。
大丈夫、あたしだってナギのこと、何とも想ってないから。



