オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】




博君が素直に挨拶したからか、静江おばあちゃんの表情はいつものように柔和になった。


「ま、これ以上堅いことは言いなさんな、だわね。こちらに来てお座りなさい」


静江おばあちゃんはそう言ってくれたけれど、あたしは顔を見れただけでほっとしたから。


「おばあちゃん、あたしは博君を送ってきただけだから」


「まあまあ、遠慮なんかしなくていいんだよ。
わしと杏子ちゃんの仲じゃないの。
ちゃんとお菓子の批評をいただけるまで帰さないからね」


静江おばあちゃんはそう言いながらあたしと博君がテーブルにつくのを見届けると、居間から出ていっちゃった。


とはいえ、いただいた静江おばあちゃんのイチゴムースは見た目がキレイなだけじゃなくて、ふわっとしたとろけそうな食感が、イチゴの甘さと酸っぱさと相まって絶品。

また一段と美味しくなってて、あたしは一瞬周りの状況も何もかも吹っ飛んで恍惚としちゃって。

うむむ~~!

やっぱり静江おばあちゃんは手ごわい。


あたしなんかまだまだ敵わないなぁ。