杏子は手間暇かかるおせち料理と雑煮を作ったから、俺たちが初詣に向かったのは夕方近くだった
親父はなぜか寒いし年寄りは遠慮するよ、とわざとらしい咳をしながら辞退したから、結局俺と杏子の2人で地元の寺院に参拝した。
取り立てて大きくもなく有名でもないから、さすがに参拝客はチラホラで、それも地元民らしいお年寄りが多い。
ゴツン☆
杏子が思いっきり鳥居に頭をぶつけたから、俺は呆れて言ってやった。
「おい、元旦早々縁起悪いな、鏡餅アタマ。
おまえが何段こぶを作ろうが構わんが、俺にまでとばっちりを受けさせるなよ。
地元の神様が福を避けるだろうが」
その場でうずくまったまま額に手をやって涙を浮かべた杏子は、俺を睨みつけて八つ当たり気味に言う。
「なによ!気付いてたなら注意してくれるか、手を貸してくれたっていいでしょ!
本当に冷たいんだから」
ふくれっ面の杏子は、無条件でいじりたくなる。
「自分がちゃんと注意すれば済む話だろう、狛犬アタマ。責任転嫁するならよそでやれ」



