理性が吹っ飛ぶ事など、生まれて初めてだった。 俺は幼い頃からいつでも冷静さを保てるよう訓練を重ね、沈着さは誰にも引けを取らないつもりだった。 しかし…… 杏子の前では全てが熱い奔流に押し流されてゆく。 そうなると、杏子の何もかもが欲しくなった。 砂漠で渇きに苛まれる旅人のように。 俺の全身全霊が渇きを癒やしたいように、杏子を欲して止まない。 そうなると、後は身体が自然と動いた。 杏子の声を聴く毎に感じる甘い疼きは、甘美な陶酔を伴い、俺の体を支配し熱くさせてゆく。