今までにない温かな感情が俺の中に生じたのは、なぜだろう?
熱で苦しんでいる他人を見ても、親父やマモル以外では心配などしたことなどなかったのに。
そのふりをした事などいくらでもあるが、所詮は心底思いやってではなくて。
……それなのに。
どうして杏子の熱に対しては、親父以上の焦りや心配が生じる?
こんな事はあり得ないはずだった。
しかし、俺の戸惑いや困惑など知らぬげに、杏子の熱はますますあがってゆく。
あいにくとこの家には氷などの熱を冷ます物は一切ない。
タオルもすべて杏子自身が雑巾代わりに使ってしまっていた。
ならば……
俺自身の力で、熱を下げる。
そう決めたら、後は迷いなどなかった。
着ていたシャツを脱ぎ去ると、杏子のバスローブの紐を手にして一気に解いた。
朧気な意識ながら杏子も気づいたらしく、何か言おうとした気配を感じた俺は。
抗議の声も赦す気になれず、柔らかな唇を強く強く自分のそれで封じ込める。



