オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】




「だから言ったでしょ、ナギが気になったからって!あたしが心配しちゃいけないの!?」


やっぱり女だ。


理屈にならない感情的な理由で全てをおさめようとする。


俺は杏子がますます疎ましくなり、顔も見たくなくて背を向け椅子に座る。


「おまえなんぞに同情されるほど家は落ちぶれてない。
何か期待して来たのかもしれないが、生憎だったな。
家は今ちょうど金もないし、換金出来る物など何もないぞ。
だが、目端の利く女ならば、めぼしいものはとっくに盗んだろうがな」


「あたし……そんなコトしてない!
何にも期待なんかしてないよ!」


「嘘をつけ。
現におまえは親父に取り入ってるだろう?
その足で親父を誘惑しにいくつもりだったろう?
だが、生憎とおまえなんぞの貧相な身体では親父は落とせんぞ。
俺の母親と比べれば、ダイヤモンドと道端の石ころほどに違いすぎるからな。
あんな事を言っても所詮はおまえも女だ。

取り入って利用出来るモノは利用し尽くす。
でなければ、なんでこんな場所に来るか……」