オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】




本当に訳が分からない女だ。


俺には理解できない理屈で来たのか。




「お邪魔します……って、何よこれ!」


杏子が叫ぶのも無理はないが、ハッキリ言って俺の部屋以外の二階はそれはひどい散らかりようなのだ。


俺はたまに片付けるのだが、そのたびに親父が片付けた以上に散らかしてくれるから、俺はそのうちに整理整頓や清掃という作業を放棄したのだ。


「ちょっとナギ!事務所じゃあんなにうるさいクセして、この散らかりようはなによ!
包丁や食器がドコにあるのかさえわかんないじゃな……」


そう言いかけた杏子の表情が強張り、凍り付いたようにその場から動かなくなる。


「ぎゃああ~~!
ゴ、ゴ、ゴキブリ~~~!!」


次の瞬間には特大の絶叫をするものだから、俺は耳栓をしながら言ってやった。


「ゴキブリ程度で驚くな、化石アタマ。
ゴキブリはおまえなんかよりよほど進化した完成された存在なんだぞ。
1億年前から姿がほとんど変わらないと言うからな。
たぶんその頃のお前は分裂増殖してたんだろうが」