オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】




その中に即席麺や冷凍食品や缶詰めばかり放り込んでいると。


それを見た杏子は眉を寄せ、そのうちの半分以上を売り場に戻してしまった。


「ダメでしょ。こんなのばかり食べてたら体に悪いって。
ちゃんと野菜を取らなきゃ。あと、魚とか果物も。これ以上入れたらデコピンだからね」


杏子は半分以上空になったカゴに、黒豆や昆布や栗やかまぼこ。
ネギやそば、煮干しに醤油にかつお節にみりん等々を何の躊躇いもなく放り込んでいった。



他にも店頭で安売りしていた鏡餅としめ縄飾り、小さいけど本物の竹で作られたミニチュアの門松を買い求めていた。


米一袋もあるから流石に多少重かったが、鍛錬と思えばなんてコトはない。


それよりも帰り道で俺は杏子に訊きそびれたコトを訊いた。


「おまえ、なんできた?マモルや母親と一緒にいくんじゃなかったのか?」


杏子は俺と顔を合わせないように歩いていたが、やがてぽつりと呟いた。


「……だって……話を聴いて……ナギが気になったんだもん」