「そんな事をしても、給料の計算には入れないぞ」
俺がきっぱり言ってやっても、杏子は首を振って俺を強い目で見上げた。
「お金なんか……関係ないよ!あたし、ただ何かの役に立たないかなって思っただけ。
マモル君からナギのコト聴いたから、お母さんを加奈子先生とマモル君に預けて……」
そう言った杏子はなぜか頭を振ると、腰に手を当て、キッと俺を睨みつけた。
「そんなコトはどうでもいいから!早く買い物に行きましょ。
あんたの家は暮れとお正月の買い出し、なんにもしてないんでしょ?
男手が必要だからちょうどよかった。
とっとといくわよ!」
杏子は有無を言わさず俺の上着の袖を掴むと、どんどん先に突き進む。
まったく逞しいやつだ。
俺は呆れながらも、食料を確保しなければいけないやむにやまれぬ事情から、仕方なくやつに付き合うコトにした。
徒歩20分で一番近いスーパーに着いた。
流石に年末だけあり、開店直後にもかかわらず、買い物客でごった返している。
俺は一番大きなカートにカゴを2つ載せた。



