俺にはそれが、滑稽で馬鹿らしい喜劇にすら見える。
男は所詮女にとってピエロだ。
哀れで滑稽な道化師。
「おいナギ、聴いてんのか?
このネックレスはどうかなと思うんだけど、お前どう思う?」
マモルが手にしたのは、小さなルビーがあしらわれたハート型のデザインペンダント。
「……まあ、いいと思うが。
おまえ、クリスマスプレゼントにでもするつもりか?」
俺が訊くと、マモルはでかい体のくせにどきまぎして頬を紅潮させた。
「いや……いくらなんでもそこまで親しい仲じゃないし……それに、日頃いろいろお世話になってるからさ。
誕生日くらいはお礼にプレゼントしてもバチ当たらないかな……って思うんだけど」
後ろ頭を掻きながらそう誤魔化すマモルの態度は、やつが初めて好きになった女の子のコトを話した中学生の頃の姿と重なって。
今まで俺は気が乗らなかったが、今度は真剣にアクセサリーを見比べてみた。



