「あっあのさ……俺の友達が……カノジョに初めてプレゼントをあげたいけど、どういうのをあげたらいいのかわかんないって俺に相談してきたんだ。
今まで女の子と付き合ったコトがない奴だから失敗したくないって……俺頼られちゃって。
こ、困るよ。
俺だってそんなに女の子のコトは知らないのにさ」
マモルが探偵事務所に着き、茶を淹れた杏子に開口一番に言ったセリフがこれだった。
幼稚すぎる手だった。
友人に相談されただとか、知り合いの話だとたとえ、相手から本音や希望を聞き出す。
だが杏子もアホだから、そんな使い古された手にあっさりと引っかかって、マモルに真剣にアドバイスをしていた。
本当にバカだ、コイツは。
自分に向けられたマモルの視線に含まれる感情に、微塵も気付いてない。
……俺には関係のない話だ。
杏子に誰が想いを寄せようと
杏子が誰を想おうとも
所詮俺には何の関係もない話だ。
もっとも、こんなちんちくりんに興味を抱くヤツがいるコトが、奇跡に近いモノがあるかもしれないが。



