「それならおばあちゃんと杏子お姉ちゃんを連れて行くって博君が言うから、俺から渚さんに訊いたら
『お母さんがご一緒でご迷惑でなければぜひ』
……ってさ。
俺と渚さんの2人っきりってわけじゃないから、何も特別じゃないさ」
……初めて耳にする話だった。
マモルは何の感慨もなく淡々と話してたが、長年親友をしていた俺には判った事がある。
俺はアキバ系オタクのフリを止めたのは、外見もだった。
ジュンたち普段俺とよく接していた奴らにはおかしく思われないよう、徐々に目眩ましを解いて記憶も少しばかり変えておいた。
だからか、俺は以前と同じ煩わしさを感じねばならなくなった。
特にクリスマス前だったからか、終業式からの帰り道は逆ナンパを何度もされ、正直辟易していた。
だが俺がそいつ等をシカトしている間、マモルは珍しく何も言わず産土探偵事務所まで着いてきた。
いつもなら話のひとつやふたつは振ってくるものだが。
だが、誰しも静かにしたい時もあると、俺は特に気にも留めなかった。



