そして迎えた終業式の日。
かったるい式が終わって自分の席で帰り支度していると、少し離れた席からナルの声が聴こえてきた。
いつもだったらどうと関心の持てないヤツの話だったが……
なぜかその時の俺は、ヤツとジュンとマモルの話し声がいやに心に刻み込まれた。
「おい、マモル。お前この間の東部動植物園以来、あのキャンってコといい雰囲気だってな?」
ナルの余計なお喋りに、ジュンも全身を乗り出して加わる。
「おっ!それ、オレもユリから聴いたぜ。
小学生のコブつきだけど、近場にちょくちょく出かけてるとか。
暮れにはキャンちゃんと一緒に日の出を見に行くってな?
うらやましいぜ!オレなんかユリと過ごしたいのに、バイトのシフトに強制的に入れられちまったんだぜ~!」
「別に俺は渚さんと付き合ってる訳じゃないよ。
博君がいろんな場所に行きたがってるから、付き添い代わりなだけだし。
日の出を見に行くって話も、博君の発案でね。
うちの病院のハイヤーを使って、入院患者さんたちを励まそうって」



