ジュンは学校に内緒でアルバイトをするらしい。
俺の勘だと、ユリという女が絡んでるな。
ナルは、あのマリリンとやらと毎日逢うという。
つくづく物好きなヤツらだ。
なぜ女の為に頑張れるのか、女なんかと毎日逢おうと思えるのか。
それは、俺の理解の範囲を超える事柄だった。
だがしかし。
確かに今は依頼もないのだから、年末年始は探偵事務所を休業してもいいかもしれない。
そう考え始めた矢先だった。
「ナギ……あのね……年末年始の5日間だけお休みくれないかな?
お母さんの具合がだいぶよくなって、その間ならいいって主治医さんが一時帰宅を許可してくれたから、病院にお迎えに行って、何ヶ月ぶりかにお母さんと一緒に過ごしたいの」
そう杏子に言われた時……
なぜか俺の脳裏には、河川敷で母の世話をするこいつの姿が甦ってきた。
「……ああ、いいだろう。不出来な分たまには親孝行をしてやれよ、赤点3つアタマ」
自分でもなぜそう言ったのか解らなかった。



