オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】






それが中年女性の羽織る着物だと俺が気付いたのは、3日目だった。


その中年女性はいつも同じ時間……午前5時には必ず居て、草むらの中で座り込みながらお手玉や鞠なんかで遊んでいた。


どう見ても40過ぎた女性がする行動じゃない。


そんな事は、世間体や羞恥心や常識を十分に弁えたハズの年代の女性がする事じゃない。


なぜか気になった俺は、ランニングの後に遠くから様子を見ることにした。


それが5日目からで。


まるで童女のように無邪気に遊び笑う女を、どうして俺は気にしたのだろう?


その5日目だった。


5時半を過ぎた頃だろうか。


肌かけを手にした1人の女が、その中年女性に声をかけたのは。


「お母さん、ほら。またこんなに朝露に濡れちゃって……風邪を引くよ」


タオルで母と呼んだ女性の体を拭き、世話を焼いた女……。


それが、渚杏子だった。