ナギをいつになく怖く感じたあたしが震えていたせいかもしれない。

ナギは直ぐに体を離して
「冗談だ、バカ」
と呟いた。


なんだか気まずくなって、あたしが紙袋をのぞき込んだとき。


淡い桜色の封筒が目に留まって、やっと要件を思い出した。


「ナギ、嬉しいニュースがあるんだ!実は……」


「伊藤博と加藤静江が実の孫と祖母で、一緒に暮らす事になったんだろう?」


ナギはあたしが1ヶ月掛かってやっと明かした事実を、いとも簡単に言ってくれました。


「何を驚くか、鶏アタマ。少しでも調べる気があるなら3日で解った事だ。
おまえのおつむなら1ヶ月でも上等な方だがな」

「な、なんで教えてくれなかったのよ!」


叫ぶあたしに、ナギはいつものあたしをバカにした笑みを浮かべたけど。


その笑みに優しさがほんのちょっぴりでも加わった、と思うのはあたしの気のせい?


あたしが火照った顔を誤魔化すために窓を開けると。


秋の終わりの柔らかで優しい風が吹き込んで、あたしたちを、みんなを、包み込んでくれた。