部屋の空気が一瞬で変わったのが、あたしにも分かった。
秋のひんやりした冷気と暖かな太陽の熱が混じり合った、自然の空気じゃない。
強いて挙げれば、どろどろに纏わりつく粘りけのある様な空気。
それも、蜘蛛の巣みたいに徐々に取り込まれてゆきそうなおどろおどろしさを感じた。
スチーム音にも似た音が、四方八方から聞こえてくる。
やっとナギがあたしの唇を離したから、あたしは息をゆっくりと吐いて。
思い切って博君を見てみた。
あたしたちは和室に居たはずなのに、足元はいつの間にかドロドロの沼で、周りには煙のような濃い灰色の霧が漂ってた。
霧が濃すぎて遠くは見えないけれど、博君はまるで淡い光に包まれたようにはっきりと姿が確認出来た。
あたしはまた、“それ”を視た。
それは博君の背後だけじゃない。
彼を中心として無限に広がる宇宙のように、陰は闇と同化し膨らみ、際限なく空間を侵食してゆく。
爛々と輝く赤い目は無限に増殖し、うなり声や威嚇音を上げながら蠢いていた。
秋のひんやりした冷気と暖かな太陽の熱が混じり合った、自然の空気じゃない。
強いて挙げれば、どろどろに纏わりつく粘りけのある様な空気。
それも、蜘蛛の巣みたいに徐々に取り込まれてゆきそうなおどろおどろしさを感じた。
スチーム音にも似た音が、四方八方から聞こえてくる。
やっとナギがあたしの唇を離したから、あたしは息をゆっくりと吐いて。
思い切って博君を見てみた。
あたしたちは和室に居たはずなのに、足元はいつの間にかドロドロの沼で、周りには煙のような濃い灰色の霧が漂ってた。
霧が濃すぎて遠くは見えないけれど、博君はまるで淡い光に包まれたようにはっきりと姿が確認出来た。
あたしはまた、“それ”を視た。
それは博君の背後だけじゃない。
彼を中心として無限に広がる宇宙のように、陰は闇と同化し膨らみ、際限なく空間を侵食してゆく。
爛々と輝く赤い目は無限に増殖し、うなり声や威嚇音を上げながら蠢いていた。



