オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】

食後のお菓子とお茶を持ってきた静江おばあちゃんは、ナギじゃなくあたしにそう注意してくれましたよ。


とほほ……



あたしが敷居を通ろうとしたら、なぜか足元の絶妙な位置に野球のボールが落ちてて。


それを踏んだあたしは見事にすっ転んで、壁に鼻を打ちつけちゃったんだよね。


「渚さん、大丈夫ですか?危ないから足下には気をつけないと」


ナギはいけしゃあしゃあと言うけど、コレって絶対にコイツの仕業だよね。


「電話でもお話した通り、私は産土探偵事務所の所長である産土凪と申します。
渚さんは1ヶ月ほど前から働いて頂いてますが、優秀な助手として活躍してくれて、大変助かっていまして」


………二枚舌。


日ごろあたしを家政婦代わりにこき使いながら、よくもいけしゃあしゃあと言えるわ!



あたしはあまりに滑らかに嘘八百を並べ立てるナギの舌を引き抜いてやりたい衝動を抑えるのに、かなり理性を総動員しなきゃいけなかった。


静江おばあちゃんもあの表情じゃ、カンペキに信じちゃってるよ。